ヴァイオリニスト 五嶋みどりさん

6月のことです。
ある病院で偶然、五嶋みどりさん率いるカルテットのロビーコンサートを聴く機会がありました。
曲目は
アイネクライネナハトムジーク 第1楽章(モーツァルト)
死と乙女 第3楽章(シューベルト)
ポルカ(シュトニケ)
ドヴォルジャークの歌曲から
くるみ割り人形より トレパック(チャイコフスキー)

何年も前に 池袋の芸術劇場で読売交響楽団とのメンデルスゾーンのヴァイオリンコンチェルトを聴いた事があり、昔の大家の演奏を彷彿とさせる古典的な大変素晴らしい演奏で、感激した記憶があります。

これもずっと以前の話になりますが、彼女は一時、精神的な理由から楽器を弾けない状態になり 大学で心理学を学んだ後、演奏活動を再開しました。
その頃のニューヨークでの彼女の生活についてのドキュメンタリーを見る機会があり、その中で病院や高齢者施設でボランティア活動として1人で演奏する彼女を見ました。その時の衝撃は忘れられません。
多くの演奏家、音楽を学ぶ私たちは、自分たちの演奏活動とボランティアとしての演奏活動を車の両輪のように行っています。ただ、ヴァイオリンという楽器はメロディーを奏でる楽器なので、バッハの無伴奏ソナタのような曲は別としてカルテットやデュオなどの弦楽器どうし、またはピアノの伴奏がついたりと 何もなしで一人で演奏するなんて若い頃は考えられませんでした。

それからの私は 望まれればどんな所へも一人で出かけて演奏するようになりました。
もちろん一人で弾けるように色々な工夫は必要で準備にもたくさん時間をかけますが、今の私があちこちで一人でボランティア活動をさせていただいているのは 五嶋みどりさんの大きな影響があります。

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